外国人配偶者の称する氏にしたい

日本人夫婦の氏については、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称することとなっており(民法第750条) 、その嫡出子は父母の氏を称することとなっています(民法第790条第1項)。  

しかし、外国人と結婚した日本人配偶者については、婚姻前後を通じ、氏に変更はありません(つまり、夫婦別姓の状態になります。この点は日本人間の婚姻とは異なります。)。
ただし、婚姻から6か月以内であれば、家庭裁判所の許可を得ることなく、市町村役場へ届け出ることによって、氏を外国人配偶者の称している氏に変更することができます(戸籍法第107条第2項)。

なお、婚姻の日から6か月が過ぎている場合には、家庭裁判所の許可を得ることによって氏を変更することができます。

外国人配偶者の称する氏の変更許可申立手続き

【申立人】

外国人と結婚した日本人配偶者

【申立に必要な書類】

(1) 申立書(当事務所で作成いたします)  
(2) 申立人の戸籍(全部事項証明書) (当事務所で取得代行が可能です)
(3) 変更申立の理由を証明する資料 
(4) 同じ戸籍にいる15才以上の同意書
(5) 印鑑
※ この他審理のために必要な場合は、追加書類の提出を裁判所から要求されます。

【費用及び報酬】

・当事務所の報酬 
(1) 氏の変更許可審判申立書作成 ..... 183,600円(税込)~※難易度によって変動
(2) 日当 ..... 10,800円(税込)~ 
(3) 戸籍等の取得 ..... 1通につき 1,080円(税込) 
・費用 
申立書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手(申立てをする家庭裁判所により異なります。即日審判の場合は不要)等の実費が必要となります。

即日処理審判

裁判所によっては、外国人配偶者の氏への変更許可申立事件について、申し立てた当日に審判書を交付する処理を行っています。
つまり、審判書謄本をもらったらその足で市役所の戸籍課へ行けば最短1日で戸籍を書き換えるための届出を完了させることができます(ただし、戸籍の書き換え自体は1-2週間ほどかかります)。

この処理に関する留意点は次のとおりです。 
ア 添付書類に不足がなく、事案に問題がない場合に限ります。 
イ 申立て書類の提出をしてから審判書の交付を受けるまでに、場合によっては1時間半程度の待ち時間が必要です。 
ウ 原則として、申立人本人が裁判所に行く必要があります。 
エ 裁判所の事務処理の都合上、午後4時前には申立てを行う必要があります。
オ 予納郵券(切手)は不要です。

結合氏・複合氏の可否

戸籍実務では、外国人と日本人の婚姻の場合には民法750条の適用はないため、婚姻によっては当事者の民法上の氏に変動はないものとして取り扱っています。但し、配偶者の氏を称したいという希望や必要を考慮して、昭和57年に戸籍法107条2項が新たに設けられ、これにより外国人と婚姻した者は、婚姻の日から六箇月以内に届け出ることにより、家裁の許可なく、配偶者の称している氏に変更できるようになりました。(六箇月を過ぎた場合は家裁の許可が必要)。
ただし、この規定により称することの可能な氏はあくまでも、日本人配偶者の身分事項欄に記載された外国人配偶者の氏であり、結合氏ではないことに注意が必要です。 

「夫婦双方の氏を結合した氏」へ変更するには氏の変更許可申立をしなければなりません。 
「やむを得ない事由」に当たるかについて認容事例 
1 国際結婚のもとで夫の氏と妻の氏を併記した新たな氏を使用する必要性が高い 
2 本国において夫婦の氏が異なるため日常生活及び社会的生活において多大な不便が生じている。 
3 このような氏変更を認めてもわが国の氏制度への支障がない。 
4 夫又は妻の本国でそういう慣習があり、現実に結合氏を使用しているか、登録されている 
5 双方の国での生活又は夫婦としての行動に具体的な生活上の不利益が生じている、又は生じるおそれがある 等
 (東京家裁審判平成2年6月20日、神戸家庭裁判所明石支部審判平成6年1月26日、東京家庭裁判所審判平成6年10月25日)。


外国人との婚姻解消に伴う氏の変更


婚姻を解消してから3か月以内に限り、家裁の許可を得ないで、届出のみで変更ができます。なお、3か月を超えてしまった場合は家庭裁判所の許可が必要となります。

当事務所は出張相談も可能です(日本全国対応)。

土日祝日も対応しております。

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